GUIDE 06 / NOISE CANCELLING
高かったノイキャンでも、通話品質は古くなる
数年前の上位機より、近年の1万円前後の方が相手へ声をきれいに届けることがあります。価格ではなく、今の録音で判断します。
相手に届く今の声。設定で直すか、機材を更新するか
数年前に高かったイヤホンを、値段の記憶だけで使い続けてしまうことがあります。
当時は上位モデルだった。まだ壊れていない。音楽も普通に聞ける。そうなると、Web会議でも十分だと思いたくなります。
ただ、相手に届くのは購入時の価格ではありません。いま使っているマイクが拾い、いまの音声処理を通った声です。ノイズキャンセリングや通話用マイクは近年かなり進み、1万円前後の機種でも、複数マイクとAIで話し声を分離するものが出ています。
古い高級機を設定だけで延命するより、新しい普及価格帯へ買い替えた方が早い場面はあります。大切なのは、古いか高いかではなく、同じ条件で録音した声に差があるかです。
「ノイキャン」は一つの機能ではない
ノイズキャンセリングと呼ばれる機能には、少なくとも三つの方向があります。ここを分けないと、「ノイキャンをオンにしたのに、相手から雑音を指摘された」ということが起きます。
自分が静かに聞く
外の騒音を打ち消し、自分が音楽や相手の声を聞きやすくする機能です。強くても、自分のマイク音声まで必ずきれいになるとは限りません。
相手へ声を届ける
複数マイク、ビームフォーミング、AI音声分離などで、話し声と周囲の雑音を分けます。Web会議で確認したいのはこちらです。
会議ツールで整える
Teamsなどの会議ツールも、端末から届いた音へノイズ抑制や音声分離をかけます。イヤホンとは別の処理です。
商品ページで大きく書かれている「ノイズキャンセリング」が、主に聞く側の機能なのか、通話相手へ送る声にも効くのかを確認します。「通話品質」「AIノイズリダクション」「ビームフォーミングマイク」といった説明が、送話側を見る手掛かりです。
近年の1万円前後が、古い高級機を上回ることはある
価格帯の下まで、通話用の技術が降りてきています。たとえば2026年8月時点で7,990円のSoundcore P40iは、6つのビームフォーミングマイクとAIによる通話時のノイズ低減を案内しています。
一方、近年の上位機では、複数マイクに加えて骨伝導センサーやAIノイズリダクションを組み合わせ、装着者の声と環境音を分離する設計も使われています。数年前には上位価格帯でも一般的でなかった処理が、世代を追うごとに更新されています。
新しい機種でも、会議向きとは限らない
音楽の音質や自分が感じる静けさに強い製品と、通話相手へ自然な声を届ける製品は同じではありません。ノイズ低減が強すぎると、キーボード音と一緒に語尾まで削られ、声が細く途切れて聞こえることもあります。
PCとの接続、マイクを使ったときの通話モード、会議アプリとの組み合わせでも結果は変わります。新しい、マイクの数が多い、AIと書いてある。それだけで決めず、実際の録音まで確認します。
会議用マイクを価格ではなく使う場所から選ぶ考え方は、内蔵・ヘッドセット・USB、会議向きのマイクは?でも整理しています。
買い替える前に、3本だけ録音する
テスト用に大声を出さず、本番と同じ席、同じ姿勢、同じ一文で比べます。
- いま使っているイヤホン
現在の基準です。空調やキーボードを普段どおり動かし、相手へ送る側のマイクで録音します。
- PC内蔵マイクか手元の有線マイク
高かったイヤホンより自然に聞こえるなら、価格ではなく世代や通話処理がボトルネックになっている可能性があります。
- 借りられる近年機種か、買い替え候補
試せる場合だけで構いません。雑音の少なさだけでなく、語尾、声の厚み、接続の安定まで聞き比べます。
比較するときは、入力マイク名を毎回確認します。イヤホンを接続していても、録音にはPC内蔵マイクが選ばれている場合があります。詳しい手順はWeb会議前のマイクテスト方法で確認できます。
設定で粘るか、買い替えるか
| 録音と使用状態 | 先に試すこと | 判断 |
|---|---|---|
| 静かな場所では声が自然 | 席とマイク選択を固定する | 急いで買い替えなくてよい |
| 雑音は減るが語尾まで消える | 会議アプリのノイズ抑制を調整する | 設定変更後に再比較 |
| PC内蔵マイクの方が明瞭 | 入力名と通話モードを再確認する | 変わらなければ買い替え候補 |
| 接続切れ・電池劣化も目立つ | 別端末でも同じ症状か確認する | 業務用なら更新が合理的 |
| 近年機種だけ雑音と声を分けられる | 同じ文章でもう一度比較する | 世代差として買い替えてよい |
「まだ聞こえる」は、仕事用の機材を使い続ける理由としては弱いものです。商談や面接で繰り返し使い、設定を変えても相手へ届く声が改善しないなら、買い替えは無駄遣いではなく業務環境の更新です。
会議アプリ側の進化も、イヤホンとは別に確認する
Microsoft Teamsには、背景雑音やほかの人の声から利用者の声を分ける「音声分離」があります。古いイヤホンでも会議アプリ側の処理で改善することはありますし、反対に端末とアプリの両方で強く処理すると、声が不自然になることもあります。
まずイヤホン単体の録音を確認し、次に会議アプリのノイズ抑制をオン・オフして比べます。一度に両方を変えなければ、効いているのが機材かアプリかを判断できます。
買うなら、ノイキャン性能だけで選ばない
Web会議用として買い替えるなら、商品ページで次を確認します。
- 通話相手へ届ける声の説明がある
「通話品質」「送話」「AI音声分離」など、聞く側ではなくマイク側の記載を見ます。 - ビームフォーミングや風ノイズ対策がある
屋外やオープンスペースで使うなら、声を拾う方向と風への対策が重要です。 - PC接続とマルチポイントに対応する
スマートフォンからPCへ切り替える使い方なら、接続の再現性も通話品質の一部です。 - 実際の通話音声で比較できる
音楽レビューだけでなく、マイクを使った録音や返品条件も確認します。
マイクの数やAIという言葉だけで性能は決まりません。最後は自分のPCと普段の場所で測り、相手に届く声が安定するものを残します。