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GUIDE 13 / MEETING MANNERS

「カタカタ音、全部入っています」。Web会議に慣れすぎて、参加が雑になっていないか

キーボード音、横を向いたままの参加、マイクの切り忘れ。慣れた今ほど、相手側からの見え方と聞こえ方を一度見直します。

会議が始まる。誰かが話している後ろで、カタカタカタ。ときどき、Enterキーの音だけが強い。

「何か音が入っています」

一度は止まるものの、しばらくするとまた始まります。入力している本人には、その音がどのくらい大きく届いているのか分かりません。

会議の内容をメモしているのかもしれないし、別のチャットに返事をしているのかもしれない。相手側には区別がつかず、キーボードの音だけが聞こえています。

Web会議は、もう特別なものではなくなりました。URLを開き、カメラとマイクを確認して、そのまま仕事の続きのように参加する。便利になった一方で、人と話しているときの遠慮まで薄くなってきたように感じます。

対面の会議で、相手が話している横で別のチャットを返し続ければ、さすがに少し気まずいはずです。Web会議では、その気まずさだけがうまく消えています。

タイピング音は、思っているより事情を伝えてしまう

キーボード音そのものは、会話を完全に遮るほど大きくないこともあります。それでも、一定の間隔でカタカタと続くと気になります。

オンライン側には、手元で何をしているのか見えません。議事録を取っていても、話題に関係することを調べていても、別件のチャットに返事をしていても、聞こえる音は同じです。

そこに、返事が少し遅れる、視線が別の画面に張り付いている、急に話を振られて聞き返す、といったことが重なると、「この人は別の仕事をしているのだろうな」と思われます。

内職していると自分から言う人はいません。それでもカタカタ音が止まらなければ、そう思われても仕方がありません。

横を向いている理由は、画面の向こうには伝わらない

マルチモニターで仕事をする人も増えました。会議画面は正面、資料は右、チャットは左。そうした使い方自体に問題はありません。

横を向いているから失礼、と決めつけるつもりもありません。共有資料や参加者一覧を別の画面に出していることもあります。

ただ、本人の事情は相手には見えません。実際には議事録を取っていても、別のチャットに返事をしていても、画面に映るのは同じ横顔です。

社内のいつものメンバーなら、仕事の癖まで分かっているかもしれません。初対面の商談ではそうはいきません。横を向いたまま相づちを打ち、キーボード音が続き、質問をすると一拍空く。これで「きちんと聞いている」と解釈してもらうのは、少し無理があります。

会議で使う画面は、できればカメラに近いモニターへ置く。別画面で資料を見るとしても、話を聞くときや自分が話すときは正面へ戻る。それだけでも、見え方はかなり変わります。

「〇〇さん、マイクオフみたいです」も、相変わらずなくならない

雑音を入れ続ける人がいる一方で、ミュートしたまま話し続ける人もいます。

口が動いているのに何も聞こえず、数秒たってから誰かが声をかけます。

「〇〇さん、マイクオフみたいです」

Web会議が一般的になってから何年たっても、このやり取りはなくなりません。

マイクを切り忘れることと、入れ忘れることは反対の失敗に見えます。実際にはどちらも、いま自分の音声がどうなっているかを意識しないまま参加している点では同じです。

入力を切らず、キーボードや紙をめくる音を入れ続ける。逆に入力を切ったまま説明を始め、全員が止める。どちらも数秒のことですが、そのたびに話の流れは切れます。

ミュートは、ずっと切っておけばよいものでも、常に入れておけばよいものでもありません。発言しない間にキーボードを使うなら切る。話し始める前に、マイクの表示を一度見る。地味ですが、結局これが一番確実です。

参加者のマナーだけで終わらせると、少し違う

ここまで書くと、「会議中は内職をせず、正面を向いて、きちんと聞きましょう」という話に見えます。

もちろん、それで済む場合もあります。ただ、別の仕事をしたくなる会議は、参加者の態度だけでなく、会議の設定にも問題があるかもしれません。

自分に関係のない説明が長い。発言するのは最後の2分だけ。念のためで全員が招待されている。こうした会議で、届いたチャットを一切見ずに一時間座っていてください、と求めてもなかなか続きません。

内職している人を注意する前に、その人を最初から最後まで参加させる必要があったのかは確認したいところです。必要な議題だけ参加してもらう。事前に資料を共有する。説明だけならテキストで済ませる。会議を30分から15分にする。主催者側でできることもあります。

とはいえ、会議に入った以上は、参加している間くらいは話を聞く。その代わり主催者も、聞く必要のない人まで念のためで座らせない。このくらいが現実的だと思います。

大げさなルールより、会議の前後でこれだけ確認する

毎回細かなマナーを読み上げる必要はありません。実際に困るところだけ揃えておけば十分です。

  1. 入力する間はミュートにする

    発言しない間にキーボードを使うなら、マイクを切ります。

  2. 話す前にマイク表示を見る

    話し始めてから誰かに止められる数秒をなくします。

  3. 会議画面をカメラの近くに置く

    資料を別画面で見ても、話すときは正面へ戻ります。

  4. 参加者と時間を見直す

    別の作業が必要になるほど関係の薄い会議なら、会議のつくり方も変えます。

キーボード音が入りやすいかどうかは、自分では気づきにくいものです。会議前の10秒録音で、普段どおりに話しながら数文字だけ入力してみると、相手側でどう聞こえるかを確認できます。

指摘されないまま、印象だけが下がる

「カタカタ音、全部入っています」と言ってくれる人は、まだ親切です。

実際には、少しくらい気になっても会議を止めてまでは言いません。「聞いていないのかな」「別の仕事をしているのだろうな」と感じたまま、話を続けます。

毎回こうしたことを注意するのも感じが悪いので、多くの人は黙っています。音声が悪いときと同じで、指摘されないから問題がないわけではありません。