GUIDE 05 / PC AUDIO & ECHO
PCのオーディオは、「聞こえる」けれど商談には心もとない
自分の声が返ってくるとき、直すべきマイクは自分のものとは限りません。
原因は相手側かもしれない。スピーカー → マイクの戻り道を確認
原因は相手のPCなのに、なぜか私の音声環境が悪いような空気になったことがあります。
ある営業担当者とのWeb会議で、私が話すたびに、自分の声が少し遅れて返ってきました。相手はPCのスピーカーとマイクをそのまま使っていました。
私の声が相手のPCスピーカーから出る。その音を相手のマイクが拾う。拾った音が会議を通って私へ戻る。起きていたのは相手側のPCです。
ところが、異常を訴えているのは私だけです。会話はいつの間にか、こちらの環境に問題があるような進み方になりました。商談の中身より先に「音声に問題がある人」にされる。最悪の体験でした。
自分の声が返るとき、原因は相手側にあることがある
Web会議では、自分の声は通信を通って相手のスピーカーから出ます。相手がイヤホンを使わず、PCのスピーカー音量が大きいと、その声を相手のマイクがもう一度拾うことがあります。
そして、拾われた自分の声は通信を通ってこちらへ戻ります。異常を強く感じるのは、戻ってきた自分の声を聞かされる側です。原因になっている相手は、こちらと同じ聞こえ方をしていないため、自分のPCが音を戻していると気づきにくいのです。
声が繰り返すのはエコー、キーンと鳴るのがハウリング
日常会話ではまとめて「ハウリング」と呼ばれがちですが、症状は分けた方が原因を伝えやすくなります。
自分の声が遅れて返る
相手のスピーカーから出た声を相手のマイクが拾い、通信を通って戻ってくる状態です。
キーン、ブーンと鳴り続ける
スピーカーとマイクの間で音が繰り返し増幅される状態です。同じ部屋の複数PCでも起こります。
どちらも、マイクとスピーカーの間に音の戻り道ができている点は同じです。「誰の声が、どのスピーカーから出て、どのマイクへ戻ったか」で考えると切り分けやすくなります。
一番早い確認は、相手側のマイクを一度ミュートすること
自分の声が返ってきたら、機器を抜き差しする前に、相手へマイクを一度だけミュートしてもらいます。相手のマイクをミュートした瞬間に戻り音が止まれば、相手側のスピーカーからマイクへ入る経路が原因と考えられます。
| 聞こえている症状 | 最初に試すこと | 疑う場所 |
|---|---|---|
| 自分の声が自分へ返る | 相手のマイクをミュート | 相手側のスピーカーとマイク |
| 相手から「声が返る」と言われる | 自分のマイクをミュート | 自分側のスピーカーとマイク |
| 同じ部屋でキーンと鳴る | 音声参加を1台だけにする | 同室の複数PC |
参加者が多い会議なら、一人ずつミュートして原因の端末を探します。全員が同時に設定を変えると、何が効いたのか分からなくなります。
会議中は、原因を断定せず「30秒だけ確認」にする
音声トラブルは、原因を説明し始めるほど会議が止まります。相手のせいだと正しく指摘できても、商談の空気はよくなりません。私は次のように切り分けるのが一番早いと思います。
「私の声がそちらのスピーカーからマイクへ戻っている可能性があります。30秒だけ、そちらのマイクをミュートして確認してもよいですか」
戻り音が止まったら、相手にイヤホンを使ってもらう、スピーカー音量を下げてもらう、使用するマイクを確認してもらう。この順で進めます。止まらなければ、自分側や別の参加者を確認します。
会議室に複数人いると、PC1台が突然「会議設備」にされる
会議室の端に置いたノートPC1台へ、3〜4人分の声を拾わせ、相手の声を部屋全体へ流させる。そもそも、かなり厳しい使い方です。
PCに近い人の声だけ大きく、奥の人は遠い。全員に相手の声を聞かせるためスピーカー音量を上げると、その音を内蔵マイクが拾いやすくなる。ガラス壁や長い机があれば、反響まで加わります。
PC1台で全員が参加
席によって声量がばらつき、部屋全体へ流したスピーカー音がマイクへ戻りやすくなります。
各自のPCも音声参加
複数のスピーカーとマイクが互いの音を拾います。エコーやハウリングが起きやすい、最悪の状態です。
会議室では、音声を担当する端末を1台だけにします。ほかのPCは資料表示や画面共有に使っても、マイクとスピーカーは両方オフ。参加時に選べるなら「オーディオなし」やコンパニオンモードを使います。
複数人での利用が多いなら、PCを机の端へ置くより、会議用スピーカーフォンをテーブル中央へ置く方が現実的です。全員の声を拾うこと、相手の声を部屋へ出すこと、戻り音を抑えることを前提にした機材を使います。
PCの内蔵オーディオが、いつも悪いわけではない
静かな個室で、PCの近くから話し、会議アプリのエコー処理がうまく働いていれば、内蔵スピーカーとマイクでも会議は成立します。問題は、条件が変わると音の戻り道ができやすいことです。
- スピーカー音量が大きい
相手の声がマイクへ入りやすくなります。 - 外部モニターのスピーカーを使っている
出力と入力が別の機器になり、会議アプリの処理がうまく合わない場合があります。 - 会議室で複数PCが音声参加している
PC同士が互いのスピーカー音を拾い、エコーやハウリングにつながります。 - 硬い壁やガラスの近くで話している
反射した音までマイクへ戻り、エコー処理の負担が増えます。
初回商談や採用面接のように、音声トラブルの説明へ時間を使いたくない場面では、イヤホンやヘッドセットでスピーカー音をマイクから切り離す方が堅実です。
営業側は、相手の環境を疑う前に自分をミュートする
顧客から「自分の声が返ってきます」と言われたとき、「そちらのマイク設定ですかね」と返すのは早すぎます。顧客の声を戻しているのは、自分のPCかもしれません。
- 自分のマイクを一度ミュートする
顧客側の戻り音が止まるかを確認します。
- イヤホンへ切り替える
スピーカーからマイクへ入る経路を物理的に切ります。
- 同じ部屋の音声端末を1台にする
資料共有用PCは、マイクとスピーカーの両方をオフにします。
- 入力と出力の機器名を確認する
PC内蔵、外部モニター、Webカメラが意図せず混ざっていないか見ます。
音声トラブルそのものより、原因を確かめず相手のせいにする方が印象に残ります。営業チームで揃えるべきなのは、高価な機材だけではなく、この切り分けの順番です。
会議ツールも「1台の音声」と機器の組み合わせを案内している
Zoom、Microsoft Teams、Google Meetの公式案内でも、スピーカーとマイクの距離、同じ部屋の複数端末、入力と出力の組み合わせがエコーの原因として挙げられています。